算数にみる日本語(小学1年生編)Part I
090829支援室だより
算数にみる日本語(小学1年生編)Part I
今回は新しいテーマです。現地校、国際校に低学年から通っていて、日本語による教科学習がままならない方に特にお読みいただきたい内容です。
どの言語で勉強していようが、国や地域による進度の差こそあれ、根本的な学習内容に大差があるわけではないと思います。しかし、日本語には日本語特有の言い回しがあり、その表現理解ができなければ、結果にたどりつけないことはたぶんに生じることでしょう。算数の文章題を例にとると、意味がわかれば計算なんて問題なくできるのに、文章そのものの意味が捉えられない、ということがしばしば原因となってしまうということです。これは、なにも海外子女の方特有のことではなく、国内にいても読解力、とりわけ、筋道立てて文章を読み取ることが出来ない生徒に見られる傾向です。
ここでは、海外子女で、日本語の教科書にあまり触れる機会がないお子さまをおもちの方に、学年をおって、どんな表現で問題が記述されているのかをご理解いただきたいと思います。まずは、小学1年生編です。教科書は、「東京書籍」発行の「新しい算数」を引用させていただきました。
2011年から完全移行する指導要領の前倒し期間で、2009年度より学習内容は改訂されていますが、小学校1年生では、
1)「かずのなまえ」
2)「0~10の理解」
3)なんばんめ
4)一ケタの「たしざん」「ひきざん」の導入
5)二ケタの数(20までの数)
6)3つの数の計算
7)くりあがりの計算(一ケタどうし)
8)くりさがりの計算(二ケタひく一ケタ)
9)20より大きい数
10)たしざんとひきざん(応用)
※図形をのぞく
という年間シラバスになっています。
さて、テーマにしている「日本語での表現」です。まず、「かずのなまえ」では、「0」の読み方ですね。
「ゼロ」ではなく、日本語では、「れい」と読まなければなりません。もっとも、厳密にする必要はありませんけれども、「ゼロ・イチ・ニ・サン・・・・」ではなく、「れい・いち・に・さん・・・・」が正しい読み方だということを知っておく必要はあります。国内でも、子どもたちは「ゼロ」と発音しますね。しかし、テストの点数で「0点」を「れいてん」とは読みますが、「ゼロ点」と読む人は皆無ではないでしょうか。ふだんの生活で、たとえば電話番号を読み上げるときなど、注意して「れい・よん・ご」(045)の「○○○-××××」みたいに読む習慣が必要なのかもしれません。
つづいて「たしざん」です。数の概念を理解していく課程では、「具体物」⇒「半具体物」⇒「数字」という段階的な記号化をしていきます。小学校入学前であっても、単純な計算のみであれば、数字をつかったとしてもあまり無理なく理解できるでしょう。なので、簡単に取り扱われやすい計算ですが、実は、「たしざん」の概念には、つぎの2つがあります。
1)合併(同時に存在しているものを、いちどきにあわせる)
2)添加(あるものに別のものが加わる)
このことが、ひとくちに「たしざん」といっても、さまざまな文章表現になって表れることに関連します。
1)合併の場合
「あわせる」ことです。ですから「あわせていくつですか」「あわせるといくつですか」という問いが基本になります。ほかに、「みんなでいくつ」「ぜんぶでいくつ」などもあてはまります。
教科書の問題です。
「あかいふうせんが4こあります。あおいふうせんが3こあります。ふうせんは、ぜんぶでなんこありますか」
2)添加の場合
「くわえる」ことです。数が「ふえる」ので、これも「たしざん」ですね。さまざまなシチュエーションにおうじて、表現がことなります。たとえば、「鳥が2わいるところに、4わくるとなんわになりますか。」とか「チューリップが花びんに3ぼんあります。4ほんいれるとなんぼんになりますか」などです。
教科書の文章問題では、
「こどもが7にんいます。3にんきました。こどもは、みんなでなんにんになりましたか。」
「めだかを9ひきかっています。7ひきうまれました。めだかは、みんなでなんびきになりましたか。」
(くりあがりの計算)
などがあります。
計算自体は難しいものではありませんが、表現するところの意味を理解することができなければ、高学年になってから、応用問題に対処できなくなる可能性が高まってしまいます。
次回は、「ひきざん」にみる文章表現とその意味からつづけます。