2009年 中学入試 人気作家(論説・説明文編)
090825支援室だより
2009年 中学入試 人気作家(論説・説明文編)
海外在住の方の、図書選びの一つの参考として「中学受験で出題の多い作家・著者」をご紹介する第2弾です。海外ご在住の方のみならず、国内在住の方の、中学受験にむけた読書の基準としてもご参考いただけけるかと思います。8/21の「文学編」に続いて、本日は「論説文」「説明文」のカテゴリーでご紹介いたします。前回も述べましたので繰り返しになりますが、「中学受験で出やすい」から読むのではなく、読書を通して幅広い知識を身につけ、読書を通して日本語の理解力を高めるという意味で、ぜひ参照していただきたいという思いでご紹介しています。
小説・物語に比べますと、論説文や説明文では、人気のある著者というよりは、テーマによって出題頻度の高いものが挙げられるかと思います。文章読解力をつけるには、どの言語でも同じことがいえると思いますが、良書を多読することにつきると思います。特に論説(評論)系の文章が難読だと感じている方にとっては、同系統のテーマを扱った文章を数多く読むこと、そして、テーマに関連する知識、語い、そして、筆者が問題提起している現在の状況に関して、自身との関連づけができる力を身につけることを意識してほしいと思います。自分自身の問題意識をもったり、筆者とは異なる立場から自分自身の考えをまとめたりするなど、小説や物語とは異なる理解力、思考力が必要だということを前提として、より多くの著書にふれてください。しかしながら、小説に比べて、とっつきにくい、身近でないという印象が論説系の文章にはつきものですね。そこで、今回は、テーマ別にして、さらに、出版元まで併記いたしますので、どの出版社が刊行している書籍が読むのに望ましいのかもご参照いただけるのではないかと思います。
【環境問題】
ここ数年の傾向として、安定的(?)に出題が見られるのが環境問題に関連した著作です。
●只木良也「森林はなぜ必要か」(小峰書店)
●槌田劭(つちだたかし)「地球をこわさない生き方の本」(岩波ジュニア新書)
●八太昭道「ごみから地球を考える」(岩波ジュニア新書)
●森住明弘「環境とつきあう50話」(岩波ジュニア新書)
●宮脇昭「森よ生き返れ」(大日本図書)
●富山和子「生きているシリーズ」(講談社青い鳥文庫)
●佐原真「遺跡が語る日本人のくらし」(岩波ジュニア新書)
などは、毎年どこかの学校で出題がみられる、中学入試では定番となっている著書です。
今年は、上記以外に、
●小泉武夫「いのちをはぐくむ農と食」(岩波ジュニア新書)
※湘南学園・城北・日本大学第三
●島村英紀「地球環境のしくみ」(さえら書房)「地球がわかる50話」(岩波ジュニア新書)
※順に、跡見学園・日大豊山
●甲斐徹郎「自分のためのエコロジー」(ちくまプリマー新書)
※かえつ有明・京華
などの出題がありました。
【人生学・哲学・社会学】
この分野からの出典も欠かさず見られます。小学生には難解にちがいありません。しかし、中学受験では、当然にように毎年出題があります。
●五木寛之「生きるヒント」(角川文庫)
●河合隼雄「こころの処方箋」(新潮文庫)
●森毅「まちがったっていいじゃないか」(ちくま文庫)
などが、これまでによく出題されたタイトルです。
今年は、
●池内了「時間とはなにか」(講談社)
※茗溪学園・関東学院
●石原千秋「未来形の読書術」(ちくまプリマー新書)
※渋谷教育渋谷・早稲田
●佐倉統・古田ゆかり共著「おはようからおやすみまでの科学」(ちくまプリマー新書)
帝京大学中・東洋英和女学院
●菅野仁「友だち幻想」(ちくまプリマー新書)
※聖光学院・大妻多摩・立教女学院
などが複数の学校で出題のあった著作です。
【言語・文化】
言語とは、おもに日本語の文化的特徴を解説した文章です。このジャンルも数年来絶えることなく出題が続いています。
●外山滋比古「新編ことばの作法」(PHP文庫)「日本語の個性」(中公新書)
●森本哲郎「日本語表と裏」(新潮文庫)
●池上嘉彦「ふしぎなことばことばのふしぎ」(ちくまプリマーブックス)
●大野晋「日本語練習帳」(岩波新書)
●森山卓郎「コミュニケーションの日本語」(岩波ジュニア新書)
などは定番中の定番といえます。
今年度でみると
●外山滋比古「思考の整理学」(筑摩書房)
※麗澤・春日部共栄
●加藤秀俊「人生にとって組織とはなにか」(中公新書)「なんのための日本語」(中公文庫)
※順に、昭和学院秀英・聖学院
●鷲見徹也「大切なことばいらない日本語」(ポプラ社)
※江戸川学園取手
などの出題がみられました。
【説明文】
説明文でぜったいに読んでおいてほしいのは、日高敏隆氏の「春の数え方」(新潮社)「動物の言い分人間の言い分」(角川oneテーマ21)と、加藤由子氏の「ゾウの鼻はなせ長い」(講談社)あたりです。
また、1973年に初版が出版され、いまだに読み継がれている哲学分野の本では、吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」(岩波書店)ですね。「生きるとはどういう意味か」という問いに対して、普遍的な何かを示唆してくれます。必読です。