海外子女.com > 海外子女教育支援室だより > ’2008年12月’

2008年12 月 のアーカイブ

聖光学院(神奈川県)帰国生入試紹介

たいへんお待たせいたしました。海外子女教育支援室 須藤です。
前回の支援室だよりの続編です。前回ご紹介いたしました横浜市の有名進学校「聖光学院」の帰国生入試問題のアウトラインと解説をお届けします。

【国語】60分 100点満点

1 「ことわざ」※生き物の名のつくことわざとその意味
2 「漢字の書き取り」 危害 局地 課程 注文 気勢 ※ 課程・注文は一般入試でも頻出
3 論説文「国際協力と平和を考える50話」(森英樹 著)
4 随筆文「蜜柑」(平岩弓枝 著)

さすがに帰国生専用ということで、一般試験と比較して「基本重視」となっています。自由記述も、心情の読み取りで1題、それ以外は「~がましい」を使った短文作りで、あとは抜き出し問題ですし、帰国生に配慮した選択問題が中心になっています。ただし、易しいと感じるのはあくまでも一般試験との比較であって、帰国生にとっては、日常的に正しい日本語を使用し、たくさんの書物に親しみ、言葉のもつ重み・深みを意識した言語生活を送っていなければ、おそらく解けない問題ばかりであろうと思われます。
たとえば、“聖光名物”の5択(選択)問題。ひじょうに練られた選択文が並びます。大人でも一読して意味の違いがつかみにくい、この選択肢から正解を選ぶのは、よほど丹念に文章と向き合うという意識を普段から高めておかないと難しいのではないでしょうか。
合格者平均が71.4、受験者平均でも65.1ということは、合格のためには、65%から70%の得点を最低ラインに考えておけばよいでしょう。

次の漢字読めますか?
A 進物 B 具合 C 放り込み ※Cの『放り』は、「ほおり」で×になった子がいるはず!
「かなづかい」おろそかにしていませんか?

【算数】60分 100点満点

〔1〕 つるかめ算・差集め算・和と差の問題
〔2〕 相似比・面積比
〔3〕 速さと比
〔4〕 場合の数
〔5〕 影の問題(相似な図形)

という、大問5題構成になっています。帰国生専用の試験でありながら、中学受験のためのカリキュラム学習に取組んでいないと太刀打ちできません。しかも、〔2〕の図形問題を除いてはすべて文章題ですから、筋道立てて文章を読み取ることができる日本語力が、ここでも求められています。〔3〕速さと比の問題文をご紹介しましょう。
■□■問題■□■
〔3〕2か所のチケット販売店P,Qでは、いつも開店前から行列ができていて、両店とも同時に開店します。開店後は両店とも,毎日それぞれ一定時間間隔でチケットを1人ずつ販売していきます。このとき,次の問いに答えなさい。

(1) ある日,聖くんはP店の列に,光君はQ店の列にそれぞれ並んでチケットを購入することにしました。開店時,買う順番は聖君,光君ともに11人目でした。その後、P店でちょうど3人目の人がチケットを購入し終えたとき,Q店では2人目の人が購入をちょうど終えたところでした。
また,聖君がチケットを購入し終えてから16分30秒後に光君もチケットを購入し終えました。このとき,P店とQ店はそれぞれ何分に1人の割合でチケットを販売したかを求めなさい。
■□■問題ここまで■□■

直前まで海外にいる方にとっては、たいへんだとは思いますが、問題のそのものの難易度というよりは、むしろ内容の理解が難しいと思われます。繰り返しますが、「日本語力」です。ちなみに、合格者平均76.2に対して、受験者平均54.9。算数が合否のカギを握ります。

【英語】30分 50点満点

さあ、帰国生入試のみの科目、英語です。

算数・国語が100点満点であるのに対して、英語は50点満点と、傾斜配点になっています。
試験科目に「英語がある」という点では、現地校・国際校に通っているお子さまには有利ですし、算国:英語が、4:1の配点かと考えれば、けっして日本人学校出身の方に不利になっているわけでもない、と思います。要は、現地(国際)校に通っていた方には、英語力を武器にしつつ、その国際感覚を入学後に発揮してもらいたいという学校側の思いでもあり、入学後に学力を伸ばすには、授業についていけるだけの(算数の問題もふくめて)日本語力が必要なので、英語だけでは合格できないよというメッセージでもあると思います。
以下は、学校発行の「中学入試問題資料」からの抜粋です。
「英語の試験は例年通り、英語の運用能力を試す問題です。日本で行われる高校入試や大学入試の問題の中にあるような単に文法能力を試す問題や下線部を日本語に直させる問題はありません。英語圏で生活していた生徒を対象とした問題です。したがって、英語圏以外の帰国生にとっては対処できないかもしれませんが、特に対策をする必要はありません。国語と算数により一層の磨きをかけてください」

実際、わたしたちがインタビューさせてもらった在校生2名は、1人が現地校、もう1人が日本人学校の出身者でした。2人とも帰国生入試で合格した生徒さんです。

では、問題についてです。
大問3題で構成され、
〔I〕は英文の内容を問う客観式の問題
〔II〕は読解力や作文能力だけでなく、推理力も必要とされる問題
〔III〕は、作文能力を問う問題で、賛成か反対か、自分の立場をまず示し、その自分の意見を論理的に説明しなければならない、かなりの英語力、思考力が要求される問題
となっています。
今回は、〔II〕の文章を、学校側の解説とともに、ご紹介いたします。
■□■問題■□■
〔II〕Reading the following story and answer the question below. Answer in English.

Many years ago when a person who owed money could be thrown into jail, a merchant in London had the misfortune to owe a huge sum to a money-lender. The money-lender, who was old and ugly, fancied the merchant’s beautiful teenage daughter. He proposed a bargain. He said he would cancel the merchant’s debt if he could have the girl instead.
Both the merchant and his daughter were horrified at the proposal. So the cunning money-lender proposed that they let Providence decide the matter. He told them that he would put a black pebble and a white pebble into an empty money-bag and then the girl would have to pick out one of the pebbles. If she chose the black pebble she would become his wife and her father’s debt would be cancelled. If she chose the white pebble she would stay with her father and the debt would still be cancelled. But if she refused to pick out a pebble her father would be thrown into jail and she would starve.
Reluctantly the merchant agreed. They were standing on a pebble-strewn path in the merchant’s garden as they talked and the money-lender stooped down to pick up the two pebbles. As he picked up the pebbles the girl, sharp-eyed with fright, noticed that he picked up two black pebbles and put them into the money-bag. He then asked the girl to pick out the pebble that was to decide her fate and that of her father
Imagine that you are standing on that path in the merchant’s garden. What would you have done if you had been the unfortunate girl? If you had had to advise her what would you have advised her to do?
The girl in the pebble story put her hand into the money-bag and drew out a pebble. Without looking at it she fumbled and let it fall to the path where it was immediately lost among all the others.

‘Oh, how clumsy of me,’ she said, ‘but never mind——

Question:

Image what she said after saying ‘never maid’. Write your own idea in English.
■□■問題ここまで■□■
※ここから、学校側の解説文です。

実際の物語では最後の部分は以下のようになっています。

If you look into the bag you will be able to tell which pebble I took by the color of the one that is left.

つまり『袋の中を見れば、残った小石の色から私がどちらの小石を取ったかわかるはず』という内容です。もちろん、この通り書かなければ正解にならないという訳ではありません。実際の解答例を見てみましょう。

(解答例1)
   the other pebble that I didn’t choose has to be in the money bag and that pebble has to be the opposite color that I chose. The pebble in the bag is black so that means I picked the white pebble. That means I can stay with my father and the debt is cancelled.

(解答例2)
   I used a trick to pick out the white pebble. I picked the white pebble and puted inside my hand and when I picked up the pebble, I pour the white pebble in to the bag and took out the white pebble that I poured in to the bag.

解答例1は英文に多少ぎこちないところがありますが、本文の内容もよく理解できており、英語もしっかりと書けています。ほぼ満点の答案です。それに比べ、解答例2は一見解答例1と同じくらいよく書けているように見えますが、実際には一度読んだだけではなかなか理解できず、採点者が受験生の気持ちをくみ取ってあげないと意味が通じません。また英文にも多くの問題点があります。これではあまり得点できません。

  この2つの例から分かるように、採点は英語として論理的に通じるかどうかが一番問題となります。些細なミスは減点しません。次年度からも問題の傾向が大きく変わることはありませんので、普段から思考力を育てながら英語力を高めていくことが重要です。

いかがでしょうか。長くなりましたが、みなさんの受験対策の参考になれば幸いです。

次回は、もう1校。共学校の「公文国際」レポートをお届けする予定です。次回もお楽しみに。

聖光学院(神奈川県)レポート

海外在住のみなさん、帰国子女のみなさん、こんにちは!
海外子女教育支援室の須藤です。

早いもので師走を迎えましたが、今日、関東南部はまさに小春日和で、12月とは思えないほど暖かな陽気に恵まれました。朝晩はさすがに冷え込みが厳しくなってきましたが、こんな陽気だと、歳の瀬の実感がなかなかわきません。でも、確実に入試の日は近づいています。受験生のみなさんは、体調管理に充分注意して、目標に向かっていってください。

さて、今回の支援室だよりは、先日、取材に訪れた横浜市の男子校「聖光学院」のレポートをお届けいたします。少々長くなりますが、最後までしっかり読んでくださいね。

【予告】
聖光学院の「学校長インタビュー動画」「学校風景動画」「帰国子女インタビュー動画」を近日中に公開します!
お楽しみに。
現在は先行して、「360°パノラマ写真」を公開しています。
この文章の最後のほうに、ページの検索方法を記載しています。

聖光学院は、昭和33年に設立されたカトリック男子校です。OBには、あの! 小田和正さんがいらっしゃいます(「My Home Town」は当時の思い出から生まれた曲だそうです)。

昨年創立50周年を向かえ、東京大学への進学をはじめ、毎年、難関大学に多くの生徒を送り出しています。したがって、有名進学校の1つに名が挙がりますが、カトリック的精神にもとづく学校であり、教育方針に「聖光学院に学ぶ生徒は愛と光をこの世にもたらす人になること」とあるように、キリスト教的精神に基いて、道徳的、倫理的人間形成に力を入れている学校なのです。

さて、訪問したのは、11月26日。実は前日の25日から「帰国枠入試」の願書受付がはじまっていました。
聖光学院では、H14年から帰国生を別枠で選抜する、いわゆる「帰国生入試」を開始しました。
工藤校長先生にお聞きしたところでは、「国際社会で活躍する方の子弟(海外子女)数が増えて、入学枠を別に用意するのが時代のニーズだった」とのことでした。
それまでは、帰国生といえど、国内生と同様、「国算理社」の4教科で受験対策をしなければならなかった。しかし、どうしても海外で過ごしてきた受験生は、国内生に比べて理科社会がきついので、学習の土台となる、国語・算数に、アドバンテージとなる英語で受験できる制度を導入したとのことでした。とはいえ、元来、ひじょうに優秀な生徒の集まる学校。帰国生だけの選抜といえども、相応の学力が求められます。

H20年の入試データ(第1・2回は、一般入試)

募集人数 応募者数 受験者数 合格者数 実質倍率
第1回(2/2) 175 728 649 244 2.7
第2回(2/4) 50 946 558 127 4.4
帰国生(1/12)若干名 101 93 23 4.0

●帰国生科目別得点結果●

国語(100) 算数(100) 英語(50) 全教科(250)※()数字は満点
合格者 最高 84 100 47 209
合格者 最低 54 58 5 159
平均 71.4 76.2 31.7 179.3
受験者 平均 65.1 54.9 26.3 146.3
※補欠発表はありません。

得点結果の英語最低点に注目! なんと5点で合格している生徒がいます。おそらくこの生徒さんは日本人学校出身者か、もしくは帰国後の年数が相当経っていたんでしょうね。
実は、帰国生インタビューもしてきたのですが、中3の生徒さん2名で、そのうちの1名も、「ぼくはたぶん入試のとき、英語5点しか取れていないんですよ~」と話してくれました。
帰国枠入試が別日で実施され、しかも、英語が科目に登場すると、日本人学校出身の人は腰が引けてしまうところがあるかもしれませんが、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう。

2009年度の入試要項の詳細については、「学校検索」画面より、「聖光学院」で検索してみてください。

□■□お役立ち情報□■□

~休学・復学~

いったん帰国して入学できたはいいが、また、突然の海外赴任辞令が・・・・・・というご家庭も多いかと思います。そこで、校長先生に休学制度についてお聞きしました。
なんと、聖光学院では、入学後、いつ海外に出ても、いつでも、何年先でも、当該学年に復学できるのが基本! とのことでした。中には、合格後1カ月程度、学校生活と友だちに慣れたあと、再び海外に滞在し、本格帰国が1年後という生徒さんもいらっしゃるようで、その間を海外の学校で過ごすことはなんら問題なしということでした(その間は、プリントやテストを送ってくださったり、どんなことをやっているかを連絡してくれたりとしっかりフォローをしてもらえます)。
ということは、突然の海外再赴任時も安心ですし、受験時より数年後に帰国の予定の方も、計画的に受験準備をしておけば、小6の春に合格通知を受け取って、本格帰国までを充実した生活が送れますよ。

本日は、ここまで。次回は、H20年の帰国生入試問題を紹介します。

追記
学校検索画面→聖光学院→詳細→学校パノラマのボタンをクリックすると、学校の様子が360°パノラマ写真でご覧いただけます!
パノラマ写真は、下段のプルダウンをクリックすれば、いろいろな学校の施設が見られます。
あんまり見すぎると目が回りますから注意してくださいね!

つづく